院長メッセージ 病院案内

当院のがん登録数は2014年から徐々に増加し、2015年は1,143例であった。年代別では40歳代から徐々に増加し、60歳代にピークとなりその後はプラトーで昨年と変化は見られなかった。部位別では男性では前立腺、肺、結腸、胃、口腔・咽頭、直腸の順であった。沖縄県においては前立腺がんの登録が1位であるが、原因は検診や人間ドックでPSAと前立腺の因果関係の情報が提供され知識の共有が広まってきている影響も考えられる。当院で前立腺がんや口腔・咽頭がんが増加した要因はそれぞれの専門医数の増加で、紹介患者が増えたことによると考えられる。女性では乳がん、子宮頸がん、結腸、肺、子宮体部と前年と変化は見られなかった。当院ではがん集学的治療(手術、化学療法、放射線療法)を行っているが、今年度からは化学療法専門医が新たに加わり、腫瘍カンファレンスがより充実し、患者さんにより適した治療選択を提供できるように努めている。症例区分別、来院経路別、発見経路別の割合は前年とほぼ同様であった。2次保険医療圏別では中部医療圏、北部医療圏の割合に変化がない。疾患別では血液腫瘍、口腔・咽頭がんが上位にあるが、北部地域でのそれらの疾患の診療環境に起因しているものと思われる。宮古、八重山医療圏からの紹介も食道、膵臓がんなど上位を占めているが、集学的治療の目的で当院へ紹介されているものと思われる。

最後に:沖縄県は現在大腸がん撲滅運動が展開され、その結果が待たれるとろである。がん死亡の1位は全国も沖縄も肺がんである。我が国では肺の検診は単純胸部X 線で一般的に行われているが、早期がんの発見は困難であり、精度の高い方法(低線量CT)での早期発見が急務と考える。CT検査には経費がかかるが、自治体の協力を得て高リスク患者を対象にCT検査を行ったところ死亡率が改善されたとの報告もある。自治体への協力要請も積極的に行っていく必要があるのではないでしょうか。

沖縄県立中部病院
病院長 本竹 秀光

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