院長メッセージ

県立八重山病院は、那覇から410km離れた大小32の島々からなる八重山諸島の中で、西表島に次いで2番目に大きい石垣島にあります。この距離は、東京から大阪の距離に匹敵します。築38年経過し老朽化が激しかった石垣市大川の旧病院から、平成30年10月、石垣市真栄里の旧石垣空港跡地に新県立八重山病院として新築移転しました。

八重山圏域で唯一の総合病院として、救急医療、小児医療、周産期医療、精神医療、また竹富町の島に4つの離島附属診療所も運営することで離島医療を担っているほか、日本領土の最南端の国境での災害拠点病院、2類感染症指定病院、そして地域がん診療病院としての重要な役割も担っています。

新県立八重山病院は、病床数302床(稼働病床264床:2019年1月現在)、ICU、HCU、NICU、GCUなどの集中治療系の機能を更に強化し、地域連携支援センター、がん相談支援センターの充実も図りました。また、八重山圏域の地域がん診療病院としても、県立病院初の導入となる320列のマルチスライスCTをはじめ、放射線被ばくを軽減したマンモグラフィーなどの最新の医療機器を導入しました。

何よりも、今まで5床であった外来化学療法室も病院の建物内で最も明るい南向きに位置する所に10床増えて15床となり、がん医療に関しても一段と充実しています。県立八重山病院の院内がん登録数も年々増加傾向にありますが、未だ治療に関しては離島が故に、ある一定の割合は島外への流失は避けられない現状にあります。

当院でも年齢において全国平均や沖縄県18施設合計と同様に60歳から急激に増加していて、男女比は2対1と男性に多い傾向があります。

今後、乳がんの検診率が上がれば、男女比がほぼ同じになると予想されます。そのためにも乳がん検診の啓もう活動が重要となってきます。

当県立八重山病院では最新のマンモグラフィーと高性能の超音波断層検査機器を導入して、また女性の放射線技師や検査技師を積極的に配置して、被験者である女性の不安を取り除き安心して乳がん検査が受けられるように配慮しています。

県立八重山病院のがん登録の上位5部位として、1位は大腸、2位は肺、3位は前立腺、4位は胃、5位は血液腫瘍の順となっています。

大腸がんに関しては、がん登録の26%も占めていますが、沖縄県内での他の保健医療圏域に比べて、がんの初期の段階に診断されているという特徴も見受けられますが、自主的受診や他施設からの紹介、他疾患経過観察中に偶然発見されたものが大半を占めています。今後は、がん検診、健康診断、人間ドックの受診率を上げ、早期発見・早期治療につなげていけるよう八重山圏域の唯一の地域がん診療病院としての役割を発揮して、地域に貢献できるように努めて参りたいと思います。

沖縄県立八重山病院
病院長 篠﨑 裕子

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